補色(リカラー)
補色(リカラー)
0.補色の行程
- ブラッシング
- (汚れ落とし)
- クレンジング
- 補色
- トップコート
- (栄養クリーム塗り込み)
※2...初期はクレンジングで落ちる汚れとそうじゃないものの見分けがつかないと思うので、1→3で落ちなければ2という流れでOKです。ただその場合、2の後に軽くクレンジングした方が塗料のノリや浸透が良いと思います(大きな差はないですが)。
※6...基本省略します。革がカサカサになっていたり表面の質感が悪いときなどに塗る事があるってくらいです。
各工程、数個ずつまとめてやると効率が良いです。
また補色に関しては同じ色のものはまとめてやるのがオススメです。
ただ例えばブラッシングをまとめて大量にやっても着手するのが翌日とかになったらチリやホコリがついて意味ないので、2~3こずつくらいで良いと思います。
1.ブラッシング
【目的】
目に見えないチリやホコリを落とし、塗料の層が凸凹しないようにすること。また色乗りを均一にすること。
【道具】
・毛足が長く柔らかい馬毛ブラシ
ホコリを掻き出すように、払い落とすように一方方向へ表面をブラッシングするのがコツです。
たわしで靴を洗うみたいに前後左右にゴシゴシするのは汚れを刷り込んでるだけなのでNG。
革にくっついてブラシではとれないカスは爪楊枝を使うと簡単にとれる。
ブラッシングでチリやほこり、カス等をしっかり払い落としてから塗料層を形成しないと、中に埋め込まれてボコボコしてしまう。
そのため塗装中も服の繊維やその他チリが付かないよう注意すること。
2.(汚れ落とし)
【目的】
クレンジングでは落ちきらない汚れや染みがある場合にそれを落とす(or極力薄くする)こと。
【道具】
汚れの内容によって以下を使い分けます。
色々書きましたが、ほとんどの場合はニューネオクリーナーとクロスを使い、それで落ちきらない分は塗装でごまかす流れになります。
ただ黒ずみなど濃い色の汚れほど下から色が浮き上がってきやすいので極力薄くしてから塗装するのが理想です。そのためメラミンスポンジを少し濡らして消しゴムのように削ったり、重曹水×歯ブラシでこすって汚れをできるだけ薄くする場合もあります。
3.クレンジング
【目的】
表面の薄汚れとトップ層を剥いで、塗料の層(バインダー層)を露出させること。
これを飛ばすとトップコートに弾かれ気味になって色乗りが悪かったり、目に見えない薄汚れがあるせいで全体塗装しても色むらができたりするケースもある。
【道具】
- リムーバー(orエタノール)
- 水
- クロス
それぞれ7:3(8:2)くらいの配合を基本とします。
ただし例えば塗料を剥ぎたいときはこれだと弱い場合もあり、9:1あるいは原液そのものをクロスに染み込ませてこする場合もあります。
水で希釈する理由は、リムーバーもエタノールも原液だと融解力が強すぎて革の表面が溶けてベタベタになったり、質感が変わってしまうケースもあるためです。
この辺りは練習用のもので様々なパターンをテストして加減を理解しましょう。ちなみに革の種類や元々の傷み具合によっても、リムーバーやエタノールで受けるダメージは変わってきます。
クロスに染み込ませる際は指で触ったときに少し濡れるくらいが目安かなと思います。クロスから滴るほど濡らすことや、革に触れたときに水滴が滴るほどたっぷりはNGです。触れた指の表面がうっすらと湿るくらいで大丈夫です。
※後日画像追加予定
4.補色
【目的】
色ハゲをなくすこと
傷も種類によってはある程度ごまかせるが、あくまでキズ消し効果のある作業ではないためそこは誤解しないように。
【道具】
塗料の比率は以下を基本とし、状況によって変える
エッジカバー低粘度:3
ウレタントップ:2
ペネトレイター:1
※2021/1/8追記
上記の配合だと初心者にはエッジカバーの濃度が高いので、しばらくはウレタントップとペネトレイターの割合をもっと増やした方が上手に塗れると思います。エッジカバー2~3割、その他7~8割くらいが良いかもしれません。
【それぞれの特性】
エッジカバーは色味
ウレタントップは伸びや質感を良くする液
ペネトレイターは革への吸収率を良くする液
エッジカバーの割合が多くなるほど色乗りが良くなるが塗った感が出やすく、割れやすくなる
ウレタントップやペネトレイターが多くなるとより自然な仕上がりになりやすくなるが、そもそもの着色力が弱くなり、塗っても塗っても中々色が付かない状態になっていく
そのため、状況に応じて何の比率を多くするか判断する
Q:塗ってもうまく色づかないときは?
A:エッジカバーの割合を多くしましょう。極論、原液で薄く塗る事もあります(広範囲を原液で塗るのは割れてくるのでNG)
Q:色はつくけど塗った感が強いときは?
A:リムーバーでササッと塗料を取り除いてから、ウレタントップとペネトレイターの割合を多くして塗りましょう。
ただし配合に関わらず重ね塗りの回数が多くなるほど塗料の膜は厚くなり塗った感が強くなる点に注意です。
3度目の重ね塗りくらいからは表面の質感を見つつ塗っていってください。
Q:筆跡がついたりダマになる場合は?
A:どちらの場合も配合の問題ではなく、筆に付けた塗料の量の問題かもしれません。塗料が少なすぎると筆跡が残りやすくなりますし、多すぎると上の画像のようにドライヤー後に一部分だけ塗料の塊の小さなしずくができてしまったります。
液量調整のやり方としておすすめな流れ
- 塗料に筆を入れる
- 容器のフチで余分な塗料を落とす
- ペーパーに表と裏を1回ずつ軽くちょんちょんと付ける
- 塗り始める
塗料を塗ったら乾く前にドライヤーで温風を散らすように当てます。
これにより余分な塗料が蒸発したり、風によってより均一に塗料が伸びます。
ドライヤーを均一にかけていても、塗料の量によって乾くのが早い場所と遅い場所が出てきます。この際、遅い場所は塗料のダマができる可能性があるので要注意です。
小技として、ダマになりそうな部分はドライヤーを当てながらも乾く前に指でさっと拭くとキレイに馴染みます。
ただしそのタイミングが遅く塗料がある程度固まってると跡が残ります。また指ではなくクロス等を使用した場合も繊維が付着して変な跡がつきやすいです。
これに関しても練習用の革でテストしてみてください!
Q:塗料ムラが出来てしまいました。直し方はありますか?
A:リムーバー×クロス(or ウェットティッシュ)で剥ぎ取りましょう
通常のリムーバー配合だととれない場合もあるので、エタノールと水を8:2~9:1くらいで配合するのが良いと思います。最終手段は原液ですが、革自体を溶かしてしまいかねないので慎重に取り組みましょう。
時間が経つほど剥ぎ取りづらくなるので、早めに取り組みましょう。
また、塗料ムラや凹凸ができてしまう原因は以下3つのどれかです
①エッジカバーの配合比率が多い
②筆に付けた塗料が多い
③重ね塗りしすぎ
塗料の剥ぎ取りは完全にキレイにできるものではなく、また革の表面を荒らしてしまうい返って悪化してしまう可能性もあります。
なので配合と塗り方に注意を払って予防していきましょう!
5.トップコート
【目的】
- 塗料の色移り&色落ち防止
- 質感/触感調整
- ツヤ調整
【道具】
- 筆/刷毛
- ウレタントップ(グロス/スタンダード/マット)
- ドライヤー
【やり方】
リペア前の製品の見た目から元のツヤ感を予測。
そのツヤ感に合わせるようウレタントップどうしを混ぜ合わせ、筆塗り&ドライヤー。
製品によりツヤの程度は違うが、グロスを使うケースはかなり少なく、スタンダードそのままだと大体ツヤが強くなる。なのでスタンダードにマットコンクを少し足した状態が経験上、1番多くの製品に当てはまるツヤ感になる。
※この辺、今まで感覚でやってしまってて配合比率が分かってないので今後分析して追記します。
ただし皆さんが補色した商品に対して「これだとツヤが強すぎる(弱すぎる)」みたいなレビューはできるので、逆にどんな配合比率で塗ったかは各々メモを残しておいていただけると幸いです。
※2021/1/8追記
革どうしが触れる部分はトップコートを厚く(2~3回)塗ったほうが良いです。「トップ層が薄い×長時間触れ合っている」という状態になるとくっついてしまい、引き剥がした際に塗料が剥げたりします。
↑財布のカードポケットは触れ合う部分の典型例です
6.(栄養クリーム塗り込み)
基本的にやりません。
明らかに状態の悪い革や、塗装で質感や触感が悪くなった際にやります。
【目的】
- 保湿
- 質感/触感改善
【道具】
- シュプリームクリーム(or デリケートクリーム)
クリームをクロスに付ける
量は適当で大丈夫ですが、とりあえず100円玉の体積くらいでしょうか。
塗っていく中で随時足していくのでそんなに神経質にならなくて大丈夫です。
指で薄く伸ばします
刷り込むように塗っていきます。
力強くゴシゴシこする必要はありません。
あくまでクリームをうすく均一に広げていくだけです。
※後日画像追加します
7. 最後に
プロが補色している過程を見たい
補色で実際どれくらいキレイになる?
塗り方を勉強したい
こういった要望は以下のYoutubeチャンネルの動画を色々と見ることで解決すると思います!
我々と使っている塗料は違いますが、どんな補色を目指せばいいのか非常に勉強になります。